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「自然に見える写真」は、人工的に作られている。「見たまんま」という脳内補正を知って撮影に活かす。 

実際に自分の目で見たときはすごく綺麗で自然だと思ったのに、写真に撮ると「なんか違う…パッとしない」と感じた経験は皆さんあると思います。

そこで今日はその理由について探ってみたいと思います。

特にこのブログの管理人カエルも一眼レフカメラを買ってすぐの頃、せっかくいいカメラを買ったのにとナゼ?と、ちょっとガッカリした時期がありました。

結論から言うとこれはカメラのせいではありません。どちらかというと人間の目とカメラの構造のギャップと言ったほうが近いと思います。

ややこしい内容ですが、自分でも理解しておきたいことなので、わかりやすく言語化したいと思います。

なぜ「そのまんまを撮る」と不自然になるのか?(脳とカメラの違い)

多分、以前のカエルを含め、多くの人は「自然な写真」を、何も手を加えずに撮ることだと勘違いしてます。

だから、性能の良い高級一眼カメラを買えば、いい写真が撮れるはずと思ってしまいがちです。でも、これは機材では解決しません。

まず、肉眼で見て良いと思った被写体を撮っても、見たまんまには撮れないことを理解するのが第1段階です。

人間の目(脳)は超高性能な画像処理エンジン

私たちは無意識のうちに、明るいところと暗いところを瞬時に調整したり(HDRに近い)、見たいものに意識を集中して脳内でより美しく、現実を「都合よく」見ています

人間は物を3Dで見ている

基本的に人は2つの眼球でモノを見ています。2つの違う位置から見る画像のズレは立体感として認識しているので2Dの画像とは根本的に違います。片目をつむっていても、多分微妙に視点をずらして脳内補完しているはずなので基本は変わらないはず。人間は無意識に、物の形や奥行きを脳内で補完して、立体的に感じています。でもカメラは、それをただの平面(2D)として記録します。だから、写真になると『のっぺり』して、存在感が薄れてしまうのです。

カメラは光と影をフィルムやセンサーに写し取るツールでしかない。

一方カメラは光の情報を正直に記録するだけです。だから、そのままでは影の部分を見やすく補正したりしません。逆光なら顔は真っ黒になるし、蛍光灯の下なら緑っぽく写ります。それが物理的な「そのまま」だからです。ここで人間が脳内で美しい印象に書き換えている脳内イメージとのギャップが起きます。

まとめると…

カメラが撮った「そのままの現実」と、脳が処理した後の「自然な認識」にはズレがある。特に立体感は2Dで撮影している以上、埋められないギャップなので、他の方法でモチーフの存在感を強調する必要も出てきます。

これが撮った写真がイマイチに感じる正体だと思います。

スマホで撮った写真が人気の理由。

私も含めスマホで撮った写真に多くの人が満足していますよね。

これはお手軽だからというだけではなく、前段で述べた、脳とカメラのギャップをAIでのソフトウェア処理が埋めていることが大きいと思います。

スマホで撮った瞬間に、濃い影を明るく補正してくれたり、青空や人の顔を明るくきれいにしたりなど、多くの人の「こうあってほしい」画をAIが提供し始めています。

これは本家のカメラ業界でも着実に進歩していますから、最新の高級カメラでそのまま撮ったらきれいに撮れる近未来はあるかも知れません。

とはいえ多分みなさん、現状では「こう撮りたかったんだよ」みたいに大満足の写真は撮れてはいないと思います。

では、どうすれば納得できる写真に近づけられるのか?

デジカメを使うにしろスマホで撮るにしろ、まだカメラは現状では人間が脳内で理想にしてるような写真を叩き出してはくれません。

そこで僕らは「自然に見える」または「美しく見える」写真を、演出して撮らなくてはなりません。例えば…

「自然に見える」写真を撮るためには

まずはそのまま撮ってみて、実際に肉眼で観た印象と撮った写真を比較してみます。

そうすると、「見た目に比べて影が暗すぎるな」とか、「全体的にのっぺりしているしているな」など、気になる部分がわかってきます。

そういう場合はレフやメリハリをつけるために照明を足して、影の明るくしてあげたり、立体感を強調してあげたりします。

「自然に見える」けどイマイチみたいな時

例えば料理を撮っていて、確かに「自然に見える」けどイマイチ美味しそうに見えないみたいなときはキラキラしたハイライトを足します。(シズル感の演出)

「自然に見える」けど印象としてはモデルのさんの顔やアクセサリーに目が行くんだよね。みたいなとき。

この辺からは自然に見えるというより、印象の演出になるかも知れませんが、瞳のキャッチライトアクセントライト、重要なパーツへのスポットライトなども大切。

これは演出の一例です。当たり前過ぎて言語化する人は少ないかも知れませんが、これは日常的にプロカメラマンや照明技師がやっていることそのものです。

「自然に見える」と「きれいに見える」画像や映像を撮るということは、肉眼で自然できれいに見えるものをそのまま撮影することではありません。

フィルムやセンサーに記録したときに、人が画に集中できるように光と影、構図、シーンの世界観をコントロールする作業だというのがわかると思います。

納得できるいい写真を撮るということ。

インスタで映える写真を撮りたいとか、エモい写真を撮りたいというのは、つまりは「見た目以上に納得できるいい写真を撮りたい」ということなのだと思います。

そこで大事なのが今日テーマにした人間の視覚の「脳内補正」を意識して、写真に演出を加えるのが一番の早道だと思います。

写真にはもう一つシャッターチャンスという要素があります。これも大切ですが、多少運任せの部分があります。

今日の記事の考え方は、運に頼らず画作りをする写真の考え方です。ライティングを取り入れることで、ある程度、時間とシャッターチャンスの縛りから開放されるので、身につけておいて損はないと思います。

まとめ

少し理屈っぽい話になってしまいましたが、こういった細かいことを意識しているのといないとでは、大きな違いがあると個人的には思っています。

カメラ任せ、AI任せではなく、自分の意志で光をコントロールしてみる。それができると、写真はもっと楽しく、奥深いものになるはず。

カメラは撮れば誰でもそれなりに撮れてしまいます。

そこで一旦立ち止まって、「自然にきれいに見せる」ためにはどうしたら良いか考える習慣をつける。

これは昔の自分への一番の説教話なのかも知れません。

カエル

カエルです。名前は「かんたんライティング」の頭文字Ka.L.からとりました。本業はグラフィックデザイナーで必要なときに商品写真やイメージ素材写真を撮ることがあります。カエルがデザイナー目線で調べたり工夫したり、試してみたいことなど写真撮影の小ネタを紹介できたらと思っています。アイデアが写真の完成度を上げられますように。

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