今日は地味な話題、色温度を測れるiPhoneアプリの話です。
このブログでも色温度の話はたびたび登場していますが、ここでは「色温度とは何か」については、いろんなサイトに詳しい解説があるので省略させてもらいます。
今回は以前インストールしたiPhoneアプリのカラーメーターでカエルの手持ちのライト3種の色をどこまで合わせられるのかを試してみたいと思います。
色温度を測るカラーメーターは専用のものを買うと10万円以上するので、このアプリでライトの色を合わせられれば相当なコスパということになりますね。
2つのカラーメーターを使って、検証します。
上の白くて丸い部分で光を拾って、色温度を測ります。
カエルが普段使っているカラーメーターはセコニックのC-500(写真)です。専用のものなのでこれを基準にして測ることにします。
iPhoneアプリの方はLightSpectrum Proというアプリで2年くらい前に250円位でインストールしたものです。
2022年10月現在でも購入可能で320円になってました。ちょっと値上がりしたみたいですね。
でもこれで正確に色温度を合わせられたらすごいですよね。というかカエルが買ったセコニックの立つ瀬がないです。
この2つのカラーメーターは計測の仕方が少し違っていてC500の方は光をセンサーで直接受けて測る入射光式です。
アプリの方はデジカメのようにレンズに入ってきた画像を計測する反射光式に近い仕組みになっています。
できるだけ公正にするために測り方も工夫したいところです。
こちらはカメラのレンズから入ってくる光で色温度を測定します。
3種類のライトを使用、計測のルールを決める。
左のライトだけ光の色味が固定のタイプです。残り2つは調整可能なので色味を合わせることができます。新しく買う予定ならこちらがオススメ。
ライトはカエルがいつも使っている3種類のLEDライトを使うことにします。Godox SL60W、SOKANI X60RGB、Apture amaran 100xの3種です。
計測の仕方はライトからの光を直接測るのではなく、ビデオカメラの撮影前にホワイトバランスを決めるときに白を撮るような感じで白ホリに反射した光を使って測ることにします。
これならば反射光式、入射光式どちらでも同じような条件で測れそうです。
今回使う3つのライトの中でGodox SL60Wは色温度が固定のタイプです。一方、後の2つは色温度可変タイプなのでGodoxの色に合わせることができます。
まず色温度可変タイプの2つのライトをセコニックC-500を使って、Godoxの色温度に合わせます。(C-500で測った数値が一番信用できそう)
その後、iPhoneアプリでそれぞれの色温度を測って再度確かめるという形にしたいと思います。
ちなみに光の色の測定では緑カブりの補正などもあったりしますが、ややこしくなりそうなので今回は省略します。
まずC-500で残り2つのライトをGodox SL60wと同じ色温度に調整します。明るさもEV7に統一しました。バイカラー(色温度可変)のLEDは寒色系と暖色系の2種類の光源をミックスして使っているのでムラができないようアンブレラで拡散しました。
C-500で色調整した3種類のライトを今度はiPhoneのカラーメーターで再度計測して検証します。
測定結果はこんな感じ
iPhoneの数値は測るごとに細かくばらつくので10回ほど測ったあと中心値の切りのいい値を載せてあります。
それぞれのライトを個別に測って出た結果を表にしてみました。3つのライトの明るさは露出計でEV7(400ルクス位)にあわせました。
Godoxのライトはカタログでは5600K(ケルビン)ということなので固定になります。C-500で測ると色温度は4470Kでした。
これを基準にSOKANI、Amaran、2つのライトの色温度をC-500で、できるだけ4470Kピッタリに合わせることにしたのですが、SOKANIのライトの色温度は100段階と細かく調節できるのに1段上下すると色温度が50Kほど上下するのでSOKANIだけ4490Kになっています。
これはSOKANIのLEDが悪いのではなく、色温度固定のGodoxに合わせたため結果的にこうなったものです。
実際のところ計測値の20Kの差は極々小さな誤差程度で、ディフューザーを新品に変えただけでもこれ以上の色温度の差が出るくらいなので僅かな差だと思っていいです。
3つのライトの明るさと色温度を同じ条件にしたところでiPhoneアプリのLightSpectrum Proでそれぞれのライトの色温度を測りました。
同じ光で測ってもC-500とiPhoneでは約500Kの数値の差が出るようです。
実際に測ってみてわかったこと
アンブレラを通した光を白ホリにバウンスさせたことで安定した数字がでたのではと思います。色温度が低めなのはディフューズとバウンスが原因だと思います。
セコニックC-500はすこし古いカラーメーターですがプロの現場でも使用されているものなので測定結果はかなり正確な値だと思います。
C−500で測ったときは数回測るとほぼ同じ数値が表示されるのに対し、iPhoneアプリのLightSpectrum Proは数値にやや大きいばらつきがありました。最低値と最高値に100Kくらいの差が出る感じです。
ここは、さすがセコニックのカラーメーターと言うところでしょう。とはいえ前段でも触れましたが、個人的には100Kの差は誤差と言ってもいい気がします。
それよりも気になるのはライト本体の設定数値の方で最大で400Kの開きがあります。ここまで来ると撮影した写真の上がりに多少影響が出るかもしれないです。ライト本体の設定値の方はあまり信用しないほうが良さそうです。
大事なのは相対値で絶対値ではない。
C-500とLightSpectrum Proの色温度の数値には約500Kほどの差がありました。
でもばらつきのある開きではなく各ライト同様に500Kほど高めの色温度を示しているので、基準としては十分使える、というかかなり優秀だと思いました。
大切なのは正確な数値が出ることではなく、相対的に同じ色温度が測れればよいわけで、複数のライトの色温度合わせとしては十分です。
最終的なホワイトバランスは撮影後にフォトショップなどで色の調整をすれば何の問題もないでしょう。
ここで気をつけたいのは、LightSpectrum Proを直接ライトの光源に向けて測ると数百K単位でばらつきが出るので、計測するときは今回のようにバウンスさせた光で測るのがおすすめです。
入射式と反射式の違いということもありますがC-500の数値は終始安定していました。
結論、アプリはかなり使えると思います。ただしC-500にもメリットがあります。
今回試した限りではiPhoneアプリのカラーメーターLightSpectrum Proはかなり正確で優秀だということがわかりました。
LEDライトなどの定常光だけでスチール撮影する方やムービーがメインの人にはすごくコスパのいいアプリだと思います。というのもこのアプリではストロボなどの瞬間的な光は測れないからです。
C-500だとストロボの色温度が測れるので、ストロボを頻繁に使う人は、1台持っていると便利だと思います。かなり高額ですが…。
実はカエルがC-500を購入してしばらくしたらC-700という新機種が出て目が点になりました。値段もあまりかわらなかったし(T_T)。現行品はC-800でさらに高機能のようです。
ところで、このiPhoneアプリをクライアントさんがいる仕事で使いますかと聞かれたら、ちょっと迷うな、というのが本音です。
若干とはいえ数値にばらつきがあり平均値を出すのに手間がかかるのと、ストロボの計測ができないのは大きいです。個人事業やプライベートで使うのなら、もちろんおすすめしたいですね。
実はカエルはカラーメーターを買うまでは色温度なんて気にもしてませんでした。さすがに外光が入る室内でハロゲンランプにブルーのフィルターを掛けるくらいのことはしてましたが。
商品撮影を頻繁にするようになってから製造年の違うシリーズ物の商品の写真と新しく撮った写真を並べてデザインしたとき、同じはずの本体の色が微妙に違うのが気になって初めて意識するようになりました。
色温度が違うライトを2灯以上ミックスして使うと後で編集ソフトなどで色の調整をするとき痛い目に合います。使うライトの色はそろっているに越したことはないです。
定常光の場合ある程度は見た目でも調整できるかもしれませんが、特に商品撮影ではできるだけ正確な色を出すことが大事になるので、少しでも色温度を意識するのはいいことだと思います。
ちょっと地味な話でしたが参考にしてもらえたらうれしいです。