このブログでも何度か登場しているPVC背景紙。背景紙と言っても、紙ではなく、塩化ビニールのシートで、白と黒の2種類だけでもあると、かなり重宝します。
今日はこのPVC背景紙の白い方を使ってフルーツ(果物)を撮ってみます。白い背景でそのまま使ったり、切り抜きが楽になるように影を薄くしたりなど、色々と試してみたいと思います。
用意するもの
一人での撮影のときはワイヤレスのシャッターリモコン(右上)が便利ですが、スマホでシャッター切れる人は、そっちでも大丈夫だと思います。
用意するものは白いPVC背景紙、これはAmazonで購入しました。小物撮り用に小さくカットしたものを使います。ストロボ類は前々回の記事で使ったものと同じです。
あとは背景紙を吊って、ホリゾント(アールを付けた舞台)を作るためのスタンドやポールなどです。
背景紙をセットできるのなら、特に大げさな機材を使う必要はありません。ただ今回はガラステーブルの上でセッティングすることにします。
PVC背景紙は乳白のアクリル板ほどではありませんが、光を透過するので、濃い影を薄くするのには都合がいい素材です。透過した光も紙のようにムラになりません。もしご自宅にガラステーブルがあれば、みなさんも試してみてください。
ライトをどのように当てるか、大ざっぱに決めておく
いきあたりばったりで撮っても、構わないんですけど、流れがわかりやすくなりそうなので、ライティングの方向性を決めておくことにします。
今回は果物(マスカット)を撮りますが、被写体に直接当てるメインのライトは順光や逆光気味など、数箇所から撮っておきます。
さらに影を薄くするためのサイド光。背景紙越しに当てる透過光(これも影を薄くする用)。基本はこの3種類のライティングになります。
この撮影ではPVC背景紙とガラステーブルを使うことで透過光が使える3つ目のカットが大切になります。
今回もクリップオンストロボを1つだけ使って、数カット撮影したあとPhotoshopでレイヤー合成して仕上げます。
普通に撮る場合はストロボが2~3灯かそれ以上必要になると思いますが、今回も前々回の記事と同様にクリップオンストロボを1個だけ使って、ライトを当てる位置を変えながら数カット撮った後、Photoshopでレイヤー化して仕上げていきたいと思います。
今日はちょっと趣向を変えて、露出計は使わずに確認モニターだけで撮ってみてフォトショップ上で明るさのバランスをとっていこうと思います。適当なライティングでもうまくいくのか試します。
実際に撮影してみる
説明イラストで決めた位置から1カットずつ撮影していきます。実際には少しずつ当てる位置を変えてみて、気に入ったカットを選んでレイヤー化する予定です。
正面からのカット
誰でもやりそうな、正面よりやや左上の位置から当てたカット。平凡なライティングというか、もう少し明るく撮れば?と言いたくなるような写真です。影も濃くしっかりと落ちてます。
今回は、SS:1/125秒、F16、出力1/4です。ストロボはスタンドは使わず、手で持って撮影しました。
トップライト
真上から当てたんですが、上のカットとあまり変わりばえしない画になってしまいました。逆光ぎみのも撮ったのですが、手前が真っ暗だったのでこちらを採用。
サイドライト
右下にできた影を薄くしたりブドウの右側の光量落ちを補う目的のライトです。
下からの透過光
これは主に背景紙に落ちる影(shadow)対策用です。グリッド付けて撮ってたのでムラになってますね。
フォトショップで合成してみる。
いつものごとく、撮影したそれぞれのカットをphotoshopでレイヤー化します。この撮影のメリットは色々あって、色味や陰影を後で変更するときに、一枚の写真では考えられない大幅な変更ができるのもその一つです。
前回やった、比較明でレイヤー化すると…
なんか、妙にスゴ味のある写真になりました。思ってたのとちがいます。影も不自然な感じです。
影の様子を見ると、あらためて、カットを分けてレイヤー合成した写真と、4灯同時に発光させて撮った写真は別物だということがよくわかります。
レイヤーを全てスクリーンに変更してみます。
無事、求めている画になってくれました。影も薄っすら残っているので存在感もあるし、いい感じです。
多分こちらの方がストロボを4灯同時発光した結果に近いと思われます。
さらに透過光のレイヤーをコピーして、覆い焼き(リニア)-加算にすると
なんと、切り抜き写真のような、ほぼ影のない写真になりました。Photoshop合成おそるべしです。
どういう仕組みか、詳しくはわからないんですが、レイヤーごとの色や明るさなどの差を計算して反映するみたいです。
色々試してみると新しい発見があります。これも、カットを分けて別撮りしているメリットの一つかもしれません。
ソフトボックスを外して直射したもの
こちらはストロボを直で当てたもの。色温度が、少しずれていますが、シズル感はこっちのほうがあるかもしれません。影の出方はイマイチながらも、こちらは比較明合成で大丈夫でした。どのレイヤー効果を使うかは、撮影条件によって微妙に違うみたいです。
まとめ
なんてエラそうに解説する体で書いてますが、今回の記事、やってみてうまく行ったらアップできるかな、くらいの気持ちでした。
実は撮影後、レイヤー化して比較明合成した時は「やっちまった~」って感じで、一瞬不安になりましたがレイヤーの効果を色々試してみたら、思いの外うまく行ったのでホッとしました。ダメもとでやってみてよかったです。
このブログも始めてから2年以上、経過しましたが実際やってみないとわからないことは、まだまだたくさんあるようです。それにしても車やバイクでよくやる、このライトペインティング(黒抜き撮影)は、かなり奥が深そうです。
ストロボの光量設定も割といい加減だったのですが、今回はレイヤーの透明度などのバランスもほとんどとらずに仕上がりました。この撮影にもだいぶ慣れてきたのかもしれません。
これからも、色々試してみますので、よろしくお願いします。
話は変わりますが、今回も一人での撮影だったので、だいぶ前に買ったワイヤレスのシャッターリモコンを使用して撮影しました。後で調べたら、NikonのD850はスマホ連携でシャッターが切れるようになっているようです。
最近のカメラでは当たり前の機能なんでしょうか。知らないと余計な買い物が増えるので気をつけましょう。
今回使用したPVC背景紙は水濡れにつよいので、紙のように濡れたら使えなくなるというようなことはありません。野菜とかフルーツのような、水気のあるものを撮る時に便利です。しかも変色したり、大きい傷がついたりしない限り、何度でも使えるのでオススメです。
シャッターがスマホ連動しないカメラを使う場合は、ワイヤレスのカメラシャッターがあると便利。この記事で使っているものとは違いますが、今ならこれを買うかも。このタイプのトリガーは、ストロボをオフカメラで発光させる機能も付いています。ただカエルはフラッシュトリガーを専用のものにしてからは、このストロボ発光機能は、ほとんど使わなくなりました。ワイヤレスシャッター機能に関しては今の所、シャッターが切れたり切れなかったりとかのミスもほとんどなく、操作もシンプルなので安心感はあります。スマホの扱いに自信がない、カエルのような年配者には、あっても良いものかもしれません。