LED1本で撮影する記事も、これで3つ目になりました。今まではバイクやグラスなと硬い質感のものだったので、今回は自然のもの、秋らしく柿を撮ってみることにします。実家の庭になっていたものですが、今年の夏、2本あった柿の1本が枯れてしまいました。原因はテッポウムシ(カミキリムシの幼虫)らしく、幼虫が木の中を進んで幹の周りを一周すると水や養分を吸い上げられなくなって枯れてしまいます。枯木を処分する前にちょっともらってきました。
用意するもの
そろえるのは、前回グラスを撮影したときに使ったものとほぼ同じです。小さいLEDライト1個と100円ショップの組み立てラック。昔、商品撮影で使った黒っぽいハギレも用意しました。これは背景用です。柿は枝ごと、枯れた枝も切ってきました。田舎だとこういうものが手に入りやすいので便利です。
セッティングは適当にカンタンに、のつもり…でしたが
いつものように仕事終わりにサクッと撮ろうとセッティングを始めました。周りも暗いしすぐ終わるだろうと思ったら、いやー難しかった。まず、柿が重い…。三脚にヒモかなんかで縛って固定すればよかろうと高をくくっていたんですが、うまく行かなくて、Cスタンドのお世話になることに。このスタンドほんとに頼りになります。結局Cスタンドを4本も使ってしまいました。それから後も枝と柿の位置のバランスがしっくり行かず、結構な時間が経ちました。背景の布もアイロンがけしたのにライトが当たると折り目がくっきり出てしまいます。それにしても、さすがにCスタンド4本はやりすぎ感があります。気軽に撮るこのブログの趣旨ともあってません。もっとカンタンに低予算でできる方法を考えたいです。夜も遅くなって来たのでこの日の撮影はあきらめました。幸い11月3日は祝日なので明日やることにします。
枝の固定はamazonで検索してみたらクランプに安くて良いものがありそうなので試しに買ってみようかなと思います。
いつものように、ぬり絵感覚でライトを当てていきます。
上の写真は少し明るく調整しました。当てたライトが暗すぎたか?思い切りが足りなかったかもしれません
前回の記事のときの撮影と同様に周りをできるだけ暗くして、ISO100、F16、シャッタースピード4秒で、柿本体のメインライト、逆光、下からのライト、枝、背景の布などとパーツに分けてそれぞれ塗り絵感覚でLEDライトを当てていきます。今回は一つ一つのカットについての説明は省略します。バイクを懐中電灯で撮った記事が参考になると思うので、興味のある方は見てみてください。撮影中、少し気になる感覚がありました。それぞれのカットを撮った後、毎回液晶モニターで画像をチェックしていたんですが、どう撮っても何か普通な感じなんですよね。うまく表現できないんですが、ライト当てて撮ったのね。はい撮れてますね、という感じ。逆光で撮ったときにはまだ、このパーツを撮ったんだという感覚はあるんですが。柿本体を撮るときは特に何か中途半端な感じに思えてしまいました。グラスを撮ったときとはちょっと違うメリハリがない印象です。
同じく画像調整、やはり暗すぎたのか?
ライトルームで調整後、連携機能でフォトショップレイヤーに持っていく
撮影時にいろいろやらかしたところがありましたがなんとか完成
それぞれのパーツカットの漏れた光や不要な部分をライトルームで修正します。ここで前回まではライトルームで仕上げた画像を一度書き出してフォトショップレイヤーにしていたのですが、ライトルームとフォトショップには連携機能があって選択した複数の画像を右クリックで「他のツールで編集」⇒「photoshopでレイヤーとして開く」にすればそのままフォトショップに持っていけることがわかり、それでレイヤー化しました。便利です。後はレイヤーを比較(明)で合成してレイヤーごとに透明度、画像を調整すれば出来上がりです。このへんも興味のある方は前回記事のバイクを懐中電灯で撮るを参考にしてください。
上の写真はレイヤー化して調整せずに比較(明)合成したそのままの画です。下の柿の中央部に光が当たってませんでした(ToT)
ところで、この写真も悪くはないんですが、もう少し工夫の余地が色々ありそうです。まずは光の当て方、柿に当てるライトの質感を変えたほうが良いかもしれないです。前にも似たようなことを書いたと思いますが、人は日常自然のものを見慣れています。柿が美味しそうに実っている画を毎年見て記憶しているはずです。また、これはちょっとオカルトチックですが、もしかするとご先祖様が見た記憶もDNAに刻まれているかもしれません。多分それは天気の良い日に太陽の光をいっぱいに浴びた赤く熟した柿の実でしょう。やっぱりそれに近い光を再現したほうが美味しく見えるのかもしれません。あと画面構成ですね、構図というか柿と枝のバランスがいまいちな感じです。これでも結構悩んでCスタンドまで使ってやったのですが。なんかもうひと工夫ほしい感じです。
ということで、縦位置に変えて撮り直してみます。
ライトの質感はUianziのVL49一本で撮ることに決めているので変更なしです。背景の布は取り外して白バックにしました。枯れ木の枝の形が面白かったので、グラフィックっぽく配置できないか試行錯誤。鋭角に曲がった枝がもう少し長かったらいろいろ試せたんですが、自然のものなので、あるもので工夫です。この撮り方は検索すると「黒抜き撮影」という方が多いんですが、背景を明るくしてみることにしました。前に使ったビニール傘をペイントしたクッキーを使ってみたり、ライトの光量を上げるなどしました。結果は明るくした背景でもイケる感じです。ただし基本は手前にあるモチーフがシルエットになっていること、そうしないとレイヤーを比較(明)にしたとき画が飛んでしまうでしょう(多分)。撮影時にはシャッターはワイヤレスで切ったのですが、シャッターのショックのせいなのか、微妙に画角がずれるようでカットによっては背景とモチーフの輪郭に黒っぽい縁ができるものもありました。このへんは画像編集時に気をつけたいところです。注意してフォトショップ上で修正すれば白バック写真でも使えると思います。ライト一本で撮る撮影方法もなかなか奥が深いです。
物撮りのレイアウトは難しいですよね。剪定バサミで枝をトリミングしたり、配置に色々悩んだ事もあって生け花をやってる人のセンスはすごいなと、改めて感心しました。料理人の盛り付けや、イラストの構図を整理する、インテリアにこだわるなど、共通するものがありますよね。
背景用のレイヤーにしっかり光と当ててやれば真っ白な背景でも大丈夫そうです。
iPadアプリで遊んでみる
実際に絵の具でこれだけ描けたら達人レベルですけどね
撮った写真をiPadに送ってWaterlogueというアプリで水彩風に処理してみました。このアプリは結構前からあって初めて使ったときは感動モノでした。フォトショップにも似たような処理があると思いますが、あっちこっちで画像処理したものを見慣れていることもあってか、このアプリの処理の方がリアル感があって好きです。デザインしていて水彩っぽい処理にしたいなと思うことが時々あって10年前くらいまではグラフィックソフトのペインターなどを結構いい値段で入れて素材を作っていました。それを考えるとわずか数百円でこんな良いソフト使っていいの?ってかんじですよ。
色んな意味で勉強になる撮影でした。
まず思ったのは、このライトペインティンッグ(黒抜き撮影)にはモチーフによって向き不向きがあるのかなという気がします。多分被写体はバイクのように大きめのほうが良い結果が出やすそうということ。小さいものも自然物より金属とかプラスチックみたいな硬質なモチーフが適している?このあたりはライトの質感や大きさを変えることで仕上がりは変わるかもしれません。自然のものは無風のときに外で撮ると面白いかも。真っ暗な中、長時間露光で即興の写真っていうのもありかもしれません。また工夫次第で暗い背景だけでなく、白バックでも撮れるのがわかったのは収穫でした。今回はレンズは24-70ミリのズームを使いました。最短撮影距離の限界でフォーカスが合わなくなるので、さらにクローズアップで撮れなかったのがちょっと残念でした。画面の中の柿の大きさはもう少し大きめのほうがバランスは良かったかもしれません。この撮影方法はファインダーを見ながら撮れないし、光の当て方や配置や構図のバランスの工夫は一人で撮ると迷路に入りやすいので、できれば2~3人で、あーでもないこーでもない言いながらワイワイガヤガヤ作業すると楽しく撮影できそうです。